小学生のときに向日葵を抱えた女の子が表紙の『ハッピーバースデー 命かがやく瞬間』を読みませんでしたか?どうやら加筆された『ハッピーバースデー』もその後出版されていたようです。
最近読み直すキッカケがあったのですが、経験を積み重ねた今だからこそわかる考えさせ得られる内容でした。懐かしく感じた人はぜひ読んでみませんか?
物語の流れ
親子の関係からうまくいっていない主人公(あすか)。
とある事情で家族から離れて暮らすことで自分の内側を見つめ直すキッカケに。
表面的で一面的な世界にとらわれていたことを知った主人公は、さまざまな立場からの広い視点で物事を見ることができるようになりました。
強さを育んだ主人公との出来事を通して周囲の人々も家族も勇気をもって自身の内側と向き合いはじめるのです。
数字や外面だけを重視する世界で思い悩んだ経験は誰もがもっているでしょう。日々誰かと接して生きる現代人は、鎧で固めて自分の弱さが外に漏れないようにしてしまいます。
弱さは罪。だから自分と向き合うことなく、日々を過ごすしかありません。ただ本当につらい日々を乗り越えるなら自分の内側と勇気をもって向き合う必要があるのです。
『ハッピーバースデー』は物語を通して自分の内側と向き合うことの大切さを説いています。
『ハッピーバースデー』の心響いたセリフ
冷たい、情がない、堅い、窮屈……。つまらない人間だともいわれた。でも傷つかないように自分を守るには、頑丈な鎧を着るしかなかった。他にどうすればよかったのだろう。
『ハッピーバースデー』67ページ
いいか、あすか。自分の側からみているだけでは、物事の心理を見落とすぞ。相手を信じること、許すことは、自分を大事にすることでもあるんだぞ。
『ハッピーバースデー』73ページ
「いいの。あすかは、ちゃんと生きることにしたの。もうママの気に入るようにって考えないことにしたの。人がどう思おうと、あすかはあすか。そうすることにしたの。」
『ハッピーバースデー』106ページ
「じいちゃんがいってたもん。何時だって、何処でだって、その気にさえなれば人は変われるって。」
『ハッピーバースデー』145ページ
にっこりと笑って、
「お兄ちゃんはそのために勉強しているんでしょ。そうでしょ、人は変わるために学ぶんだよね。」
「・・・辞めたいなら辞める。辞めたくないなら続ける。それっきゃないんです。大人でしょう。自分の道は自分で選択するんですよ。王子様が王子様の道を選んだように。」
『ハッピーバースデー』191ページ
(中略)
「藤原さん、いいわけが多すぎますよね。それって自分をどんどん落とし込むっていうか、損ねる気がしませんか。良くないですよ。自分のことぐらい、自分で責任持ちましょうよ。」
ママはずるいよ。自分の問題なのに自分で解決しようとしないで、あすかにぶつけている。春野おばさんへいえなかったことをあすかにぶつけてる。あすかはママの記憶の一部分ではないわ。ママが勝手に傷つけていい存在ではないの。」
『ハッピーバースデー』227ページ
涙があふれてきた。
「あすかは、あすかのものなの。他の誰のものでもないの!」
(中略)
「ママだと思うから甘えたくなるんだよね。どんなに傷ついても、愛してほしいって思うんだよね。」
「でもね藤原さん、いっときますけど、カウンセリングを受ければすべて解決するってわけじゃないですよ。」
『ハッピーバースデー』233ページ
(中略)
「トンネルから抜け出すには、自分の足で歩くっきゃないんだって。どっちの方向へ行くか決めるのも自分だしね。藤原静代の生き方が大事なんで、誰かが何かをしてくれるなんて、甘ったれてちゃだめなんです。」
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