実際、建設業経理士は建設業を営む会社にとってメリットがあるといわれています。
ですが
「具体的にどういったメリットがあるのか?」
「売上高換算だとどの程度貢献するのか?」
といった詳しい内容は調べてもわからないですよね。
今回は建設業経理士のメリットについて詳しく紹介したいと思います。
結論:メリットは入札参加の範囲が広がる
経営審査事項(経審)の総合評定値(P点)の加点があります。
経審のP点が加点されると
・入札時に足切りをクリアできる
・官公庁の格付けが上がる
つまり入札に参加できる範囲が広がることがメリットです
建設業経理士の数で加算される点数が上限に達していない場合にP点の増加貢献度は以下の表のとおりです。
売上(完工高) | 2級ひとりの P点増加貢献分 | 1級ひとりの P点増加貢献分 |
600億円未満 | 0.64点 | 1.28点 |
150億円未満 | 1.29点 | 2.59点 |
40億円未満 | 2.37点 | 4.75点 |
10億円未満 | 4.75点 | 9.5点 |
1億円未満 | 14.25点 | 14.25点 |
経験則としては売上150億円以上の会社は点数上限まで達しているので、会社に貢献というよりは資格勉強による社員教育の側面が強いですね。
個人としてのメリットは資格手当になると思います。もし規定がないのであれば以下で説明する内容を交渉材料にしていただければ・・・
入札時のメリットについて詳しく
まず「入札で足切りされない」について
入札では「経審の総合評定値(P点)が●●点以上であること」との参加条件がつくことがあります。また県内の経審の総合評定値(P点)の上位10社などで指名する案件もあったりします。
つまり、一定のラインを超えないと入札参加すらできなくなるので余裕をもって点数を維持するためにも建設業経理士の項目で点数を稼ぐ誘因が会社にあります。
次に「官公庁の格付けが上がる」について
官公庁の格付け基準を見てみましょう
等級 | 土木一式 総合点数 | 建築一式 総合点数 |
A | 1210以上 | 1065以上 |
B | 1005以上 | 865以上 |
C | 785以上 | 735以上 |
D | 785未満 | 735未満 |
総合点数は、経審のP点+役所独自の加算点数(受注実績など)による算出。
主に経審の点数は地元企業だと800~1200あたりであると考えると経審の点数が大きく影響します。
官庁工事において、金額が大きい工事は上位の等級を指定して発注されるので、B~D等級に属する売上40億未満の会社にとって経審は重要になります。この範囲だと建設業経理士がひとり追加されるだけでP点が大幅に上昇します。
経審の総合評定値(P点)はどうやって算出される?
経審の総合評定値(P点)は、
「経営規模(X1・X2)」
「経営状況(Y)」
「技術力(Z)」
「社会性等(W)」
の4つを評価項目として、それぞれ点数化したものを総合的評価した値です。
経審は一般に公表されています。それぞれの項目の点数記載箇所は下図の通り
算出方法は以下の計算式になります。
総合評定値P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W
(※小数点以下四捨五入)
建設業経理士の数は、W点の項目に含まれています。
建設業経理士によるP点増加分は具体的にどうやって計算する?
総合評定値(P点)増加分=0.15W
以上の計算式でP点の増加分を出せます。まずはW点を計算する必要がありますね。
W点の算出方法は以下の通りです。
その他社会性等評点(W)=(各項目の評点)×10×190/200
※小数点以下、四捨五入
各項目の評点の中に建設業経理士の数で加算される項目があります
建設業経理士の数の項目の計算方法
建設業経理士の数の項目で加算される点数上限は10点です。
売上(完成工事高)と建設業経理士等の経理人材の数によって決められた点数が加算されます。(※2点間隔)
売上(完工高) | 満点に必要な 2級の人数 | 1級ひとりの 増加点数 | 2級ひとりの 増加点数 |
600億円未満 | 22人 | - | - |
150億円未満 | 11人 | - | - |
40億円未満 | 6人 | 4点 | 2点 |
10億円未満 | 3人 | 8点 | 6点 |
1億円未満 | 1人 | 10点 | 10点 |
売上40億円以上の会社だと2級経理士が4人以上いないと点数が入りません。
イメージは1級は2級のふたり分の扱いと考えておけば問題ありません。
(※1級取得者は自主監査が可能で、行えばさらに2点加算されます)
ちなみによくいわれる
建設業経理士1級なら1点(公認会計士や税理士も含む)
建設業経理士2級なら0.4点
これは算出するための暫定数値でしかありません。各社の売上ごとにP点が変わってしまって簡単に説明しにくいので、こちらの数値を宣伝しているのだとは思いますが・・・
建設業経理士ひとりがP点増加にどれほど貢献するか
さきほど計算したように建設業経理士の数による加算点は2点間隔ですので一定の範囲をこえなければ0点になってしまいます。
ひとり建設業経理士が追加されたらP点増加にどれほど貢献されるのか知りたくないですか?
ひとりあたりのP点増加分の貢献度を計算してみます。
経理士で増加するP点の上限は14.25点です。
これを満点にするのに必要な2級建設業経理士に数で割れば、ひとりがどれほどP点の増加に貢献したかが算出されます
結果は以下の表です。
売上(完工高) | 2級ひとりの P点増加貢献分 | 1級ひとりの P点増加貢献分 |
600億円未満 | 0.64点 | 1.61点 |
150億円未満 | 1.29点 | 3.23点 |
40億円未満 | 2.37点 | 5.93点 |
10億円未満 | 4.75点 | 11.87点 |
1億円未満 | 14.25点 | 14.25点 |
こうすることで、建設業経理士ひとり増えるP点貢献度は売上●億円に匹敵するかがわかります。
例えば完成工事高が35億円の企業が1億円売上増加したときに増加するP点は約1.645点です。
同規模の会社で2級建設業経理士が増えると、完成工事高が1.44億円増えたのと同じ価値があると計算できます。
最後に
今までは資格試験に合格するだけでお手軽に経審の点数を上げることができた建設業経理士ですが、今後は5年に1回の研修を受けなければ点数加算されないようになりました。
研修はまだ受けてないですが、研修がどのような内容なのかを紹介できたらと思います。
試験については以下の記事で
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