教養とは知識の多さではなく、抽象思考で問題発見ができること『「具体⇆抽象」トレーニング』

本紹介

幅広い知識を持っていることが教養と扱われることに疑問をもったことはありませんか?

もし知識が多いことが教養であるのなら辞書もインターネットも教養がある存在でしょう。
知識という情報量がすべてであれば、現代人は今までの歴史の中で最も教養がある存在といってもいいですよね

博識と教養があるとの違いはなんだろう?


教養を捉える切り口はいろいろとあると思いますが、いかに抽象思考による問題発見ができるかと考えています。

以前、具体⇔抽象による一問一答の使い方を紹介しましたが「抽象」「具体」について詳しくは触れませんでした

今回は『「具体⇆抽象」トレーニング』より、「具体思考」と「抽象思考」がどういうものなのか、そして抽象思考による問題発見が教養となぜいえるかを見ていきます。

「具体思考」と「抽象思考」とは

具体と抽象というのは、相対的な概念です。したがって、これらは対比によって、「どちらが具体で、どちらが抽象か」が決まるものです

これは納得できると思います。例えば、果物とリンゴでは、果物が抽象になります。しかし食べ物と果物を考えれば、果物は具体的な対象になります

それではそれぞれの特徴を以下に並べます。それぞれの詳細は『「具体⇆抽象」トレーニング』で

抽象化

  • まとめて一つにすること
  • 線引きすること
  • 一言で表現すること
  • 都合のいいように切り取ること
  • 目的にあわせること
  • 捨てること
  • 言語化・図解すること
  • 自由度をあげること
  • 次元を増やすこと
  • 見えない線をつなぐこと
  • マジックミラーを破ること
  • whyを問うこと
  • メタで考えること
  • 全体を俯瞰すること

具体化

  • 自由度を下げること
  • Howを問うこと
  • 引かれた線の中を詳細化すること
  • 数字と固有名詞にすること
  • 逃げ道をなくすこと
  • 違いを明確にすること
  • 具体化には知識や情報量が必要

抽象化の罠

抽象化の特徴にある「都合のいいように切り取ること」は欠点としてとらえる人が多いかもしれません。

特に次に引用するタイプの人はよく見かけます

人は成功した場合には運よりも努力を成功要因としてより強めに抽出し、失敗の場合はこの逆をしがちです。とりわけ他責の人は、失敗したときには100%その責任を他人と環境のせいにするために進歩も悩みもありません。

「具体⇆抽象」トレーニング

運が悪いと嘆く失敗者、自己責任を唱える成功者。そうなりたくはないと思うのは自然な感情です。
だからといって抽象化を避け続ける必要はないでしょう

抽象化が必ずしもこのような結末を迎えるわけではないからです。

恐れながらも抽象化による新たな道を見つけることが教養へとつながる

新しい道は抽象化によってしか生まれません。
具体思考では常に常識や慣習に縛られます

抽象化するには今与えられた条件はなにかを考える必要があります。
つまり常識や慣習に縛られていることを把握できるのです。

とはいえ、すべてに応用がきく法則を知っているだけなら博識です。

  • 一般的な法則を見出す際に、切り落としたものまで目を向けること
  • それが誤った結論を出してしまう可能性に思い悩みながらも行動すること

こうして抽象化の過程で磨かれた品位と人格が備わることで教養となるのです

問題発見は抽象思考、問題解決は具体思考

問題発見は、さまざまな具体的事象から本質的な課題を抽象化して抽出することです

「具体⇆抽象」トレーニング

「社会にでると正解はないから学生とは違う」

これは「問い」を見つける抽象化において正解がないことを指します。「問題発見」はビジネスにおいて重要視されますが、問題発見のみでは何も現状は変わりません。

具体思考による問題解決が重要なのです。
問題は発見したものの抽象化されたままだと、どのようにも解釈でき問題解決につながりません。
逆に問題発見ばかりに目を向けていると新しい発想はでてきません。

「問題発見」と「問題解決」のどちらに目を向けるべきかをその都度考えていくことが重要です。

最後に

常識と慣習の中で考えることに慣れた人、すでに決められたことは変えられないと無意識で思い込んでいる人間にとって抽象思考は必要のないものです。

だから教養も分からない。正解があり、知識量のみで判断できるクイズを教養とみなしてしまうのです。

具体思考でも問題解決はできます。ただし、より本質をついた問題を発見するには抽象思考は不可欠です。

もし抽象思考を身に着けたいなら読書から始めてみてはどうでしょうか?
まず目的をもって本を読み、書かれていることを都合よく切り取って語ってみましょう!

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