「文章を書けない。書けるようになりたい」
そう思って人は本屋へ文章術やライティングの本を求めるのです。そして今の自分には活用できない本を購入して向いてないと書くのを諦めてしまう。
なぜそうなるのか?それは書くために必要なことがわかっていないからです。わかっていたら文章書けるんですけどね・・・いい髪形にしたいからプロに任せているのに切ってもらう際に、いい髪形がわからないから「短く」としか言えなくて求めていた出来にならないのと同様。
では『文章は型が9割』は初心者が求める内容だったのでしょうか?
44パターンの型は読むため?
結論から言うと本書は「すでに主張の大まかな流れを決めている人が論理的に表現するためにどんな型を用いるか」という表現の方法を多く紹介しており、書けない人が求めている「型が主張の流れを生み出す」という書く方向性を決める補助にはならない。
「まだ論理的とかどうでもいいんです」「乱雑に頭の中にある書きたい内容を整理する型が欲しいんです」読んでいてそう言いたくなりました。
とはいえ論理的な型を意識するのは読む上では非常に重要です。なおかつ例文として3章以降はパターン毎に文章を用意してあり、論理構造が解説された良質な読解を体験することができます。
本書で紹介されている方は、書くためよりは読むためといっていいでしょう。副題は「当てはめるだけでスラスラ書けるテンプレート44」ですが「当てはめるだけでスラスラ読めるテンプレート44」の方が適切。44つのパターンを流し読みをしていたときはこのように思っていました。
勘違いでした。「文章は型が9割」の神髄は44のパターン集にあるのではなく、コラムにあったのです
意見は感情で選び、文章は論理的な型で書く
文章を書けないと悩んでいる人は「自分の意見や考えがない」「頭がからっぽ」なのが原因だと思っていませんか?
本書のコラムにある「自分の意見や考えを持つ方法」でどう考えればいいかを教えてくれます。
自分の意見は探して選ぶ
「この世に100%オリジナルな意見や考えなどありません。独自の意見だと思ったことでも、どこかで誰かが言っていますから、それは誰かの意見なのです」
文章は型が9割
だから、世の中にどんな意見があるのかを調べることが大事になります。インターネットのおかげで、他人の意見を調べることが簡単になりました。個人の意見だけでなく、歴史上の人物やタレントの意見も知ることができます。
そして、たくさんの意見の中で、一番自分の考えに近い意見を選ぶわけです。それがあなたの意見になります。
つまり、自分の意見や考えを持つとは、「選ぶこと」だったのです。
意見を選んで型にはめ込める。一貫した著者の思考が理解できました。文章は自分の選んだピースを組み立てるパズルだということ。
つまり
- 「意見」は、世の中にある意見を調べて自分に近い意見を思うがままに選ぶ
- 「意見の説得力」は、論理的な型に意見を埋め込んで組み立てて生む
- 「意見の深さ」は、実体験などを通して主張の理由を育てて生まれる。
ということになります。
なぜその意見が近いかと思ったのかを分析して、深い意見へと育てる。この繰り返しをすれば確かに自分の考えが生まれてきそうな気はします。
この型の欠点
主張の理由も自分で考えることをせずに、選んで組み立てるとどうなるでしょう?
伝えたいことを伝えるための型になります。書き手に「読者のため」という思想がなければただの自己表現でしかなくなるのが本書で紹介された型の欠点でしょう。
やはり型を身に着けるなら思想を含んだものがいい。
最後に
「意見や考えは自分の頭からひねり出さなければならない」「文章を書くなら自分で考えてこそ」
こう思いこんで文章が書けずに悩んでいるなら、世の中の意見は独創性があるように思えてもどこかに同じものが存在すると認識しましょう。そして、より感性に近い意見を選んで育てていきましょう。
それが後々に自分の頭で考えて文章を書くことにつながるはずです。
それはそうと「自分の頭で考えてこそ」というフレーズは、ポケモン対戦wikiを思い出しますね。ここまで情報伝達が速いとすでに現行世代のwikiからは消されてそうです。そもそもwikiは生き残っているんでしょうか・・・?
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